絵日記 日日平安 『こちらあみ子』を読む
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『こちらあみ子』を読む

『こちらあみ子』(「こちらあみ子」「ピクニック」)今村夏子
『むらさきのスカートの女』今村夏子


 たとえばどうしようもないコミュニケーションの断絶がある。
 目の前にいる職場の人でさえまったく理解不能、向こうもこちらを理解不能だろう。そういう断絶。

 そういえば数年前、新しく来た上司たち(なんと複数名いた)に職場から干されたとき何があったかといえば、まったくの無理解、言葉が通じない、理屈が通じない、向こうは「これといったらこれ」。話を聞こうともしないし、聞いても頭に入れようとしない。

 結局、あとになって、ひとりの上司は「仕事知らずのおこちゃま」、もうひとりは「アスペルガー」と記号付け(レッテル貼り)したら納得できた。

 つまりは、人間なんてお互い理解不能。その存在を理解するためには「レッテル貼り」がどうしても必要という話で、この小説3本は、「レッテルを貼らない段階」で貼られるほうからの視点で書かれた小説。

 「あみ子」は発達障害、「ピクニック」の主人公は妄想癖、「むらさき~」の主人公も妄想癖のストーカー、そういってしまうと小説自体が終わってしまうが、ここで考えるのは、「自分」がどうかという話だ。普通と思っていた自分が普通に何年も生きてきて、ふと気づいたとき「異常人間」扱いをされる。そういう扱いをされなくとも、どこかの社会からはなんとなく疎まれ、なんとなく差別されている。そういう状態はまあ普通にあること。

 では、「あみ子」やその他の主人公たちと「普通の自分」との差異はどこにあるのか。

 そんなものはどこにもない。

 どの小説も、最後の最後に作者がちらりとみせる「レッテル貼り」の恐怖、そして「他人の無理解と行動(いじめだったり暴力だったりする)」の衝撃が、どうしようもなく僕を絶望させる、そんな作品群である。(管理人)

20190717
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[ 2019/07/17 16:48 ] | TB(0) | CM(2)
芥川賞受賞しましたね。記者会見までしっかり見てしまいました。

僕の中では今のところ「あひる」がベストです。

「あみ子」はちょっと強烈すぎて救いがなさすぎて・・
[ 2019/07/18 11:56 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
> 芥川賞受賞しましたね。記者会見までしっかり見てしまいました。
>
> 僕の中では今のところ「あひる」がベストです。
>
> 「あみ子」はちょっと強烈すぎて救いがなさすぎて・・


受賞しましたね。結構「ふつう」の感じの人で(失礼ですね(笑))驚きました。

僕も「あひる」がベストですが、上に書いた通りの意味で「むらさき~」が賞に値するのだと思いました。最初読んだときはピンときませんでしたけどね(笑)。

[ 2019/07/18 13:55 ] [ 編集 ]
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