絵日記 日日平安 「渡良瀬」佐伯一麦
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「渡良瀬」佐伯一麦

 いやあ、やられました。という感じ。昔から書きたいと思っていた「労働者小説」で、電気工で工員である主人公が行う配電盤の作業の描写の緻密さといったら……。まさにプロレタリアートな小説で、「働くこと」と「生きている」ことがじつに身体的に一体化している。当然、実体験に基づいているのだろうが……。

 いまでは中国ものの小説で人気作家になっている大学の某先輩が、フリーターでアルバイトをしていたころの仕事を小説としてものにしようとしていた。具体的にはユニットバスやキッチンの取り付け作業をしっかりと描写したいということだったが、その後ベストセラー作家になってしまい、その小説は書かれていない(と思う)。
 そのとき僕も同じ会社でバイトをしていて、ちょっとだけどその辺りの「労働描写」をした小説を書いてみたが、ぜんぜん「労働者小説」にはならなかった。

 そんなことを思い出してしまう佐伯小説だが、描写はもちろんストーリーも良い。妻とのことを小説に書いてしまい、それがもとで不仲になっている状況とか、子供に「間違ったこと」を一言いってしまったせいで精神的な病気に陥る。そんな家族と再生のために住んだ土地が「渡良瀬」で、細やかな描写、周りの人物など、「田舎の工場の雰囲気」がいちいちリアルで素晴らしすぎる。

 ひさびさに「やられた」一冊。(管理人)

20180426
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[ 2018/04/26 11:09 ] | TB(0) | CM(0)
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