絵日記 日日平安 2019年09月
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「シンクロ小説」を読む

『サクラ咲く』辻村深月
 「乃木坂文庫」第2弾!ということで今回は光文社(前回は講談社)から44冊のフェア文庫が出ている。
 うち、堀未央奈表紙の『レジまでの推理』(似鳥鶏)白石麻衣表紙のこの本を購入。

 短編が3本収録されており、図書館の本で手紙をやりとりする表題作も、未来から来た少年との出会いを描く「約束の場所、約束の時間」もよかったが、一番よかったのが「世界で一番美しい宝石」という短編。

 高校時代に「部」がなかったので「映画同好会」をつくり、男が3人集まって……というストーリー展開だけでも、「あっ、おれ、書いたことがある!」というデジャヴ。

 つまりは、僕自身、高校時代と大学時代の設定で2本、「8ミリ映画をつくる」という小説を書いていて、まったく同じ登場人物の動きや心境に思わず震えてしまった。

 そして、図書館で静かに本を読む「主演女優」になんとか映画に出てもらうため、彼女が探している本を探すという展開、その本はどのように見つけられたか、さらに主人公がいつも感じてる「学校はみんなのものではあるが、自分のものではない」という感覚。

 どこを切り取っても、まるで自分自身のようで、とんでもない名作だと思った。

 さらに、これを書くためにウェブで調べてようやく知った(気づいた)のだが、この3篇にまたがる登場人物たちのつながり、時間の流れ……これが素敵すぎて1冊の小説としても傑作。いやあ、素晴らしかった。


『四月になれば彼女は』川村元気
 読書一郎さんの読書メーター(https://bookmeter.com/users/1028166/reviews)をみて読んだ本。

 これが、『サクラ咲く』とおんなじ「シンクロ小説」で、僕自身の「大学時代に最初につきあった彼女」が写真部で、一緒に暗室で現像や焼き付けをしたことがあり、この小説の登場人物「伊予田ハル」と完全にシンクロ。
 主人公は「ふとしたこと」でハルと別れてしまい、その後10年以上あとの、つまりはこの小説の「現在の時間」で長い長い本当の「別れ」を味わう。その「青春」の「恋」のせつなさ、それをずーっとあとになって、取り返しがつかなくなってからリアルに感じてしまうのがこの小説の真骨頂。

 だが、僕自身はその彼女と、「せつなさ」を感じなくなるまで完全に「終わって」しまい、「想い残し」はまったくない。つまりはこの小説にある、

 愛を終わらせない方法はひとつしかない。それは手に入れないことだ。決して自分のものにならないものしか、永遠に愛することはできない。


という表現をまさに体現しているくらい「手に入れて」「終わってしまった」(笑)。いま僕の中に残っているのはみんな「想い残し」のある女性たちばかりだ。人間とはまさにそういうものである。(管理人)

20190920
白石麻衣の表紙。まさに「シンクロニシティ」(笑)
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[ 2019/09/20 11:44 ] | TB(0) | CM(0)
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