絵日記 日日平安 2015年08月
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『八月の狂詩曲』(1991)

 封切が1991年5月25日で、会社に入って上京してすぐに有楽町でみた黒澤映画。昨日24年ぶりにみたのだが、全然古くなっていない。
 というか、当時から「教科書的な」「NHK教育番組的な」つまりは「つまらない」映画といわれていたのだが、まったくそんなことはなく、戦争を真摯にみつめた非常にリアルな映画である。「原発事故」後で「安保法案」の今だからこそなおさら「リアル」になる。

 「教科書的」といえば、映画はずっと子供たちに「戦争を教えている」のだが、戦争や原爆があまりにも非人間的だからこそ、滔々と静かに「教えている」シーンが効果的だ。原爆の熱でひしゃげたジャングルジムのその静かな映像だけですべてを語っている。そして社会の手垢にまみれた「大人たち」も戦争やその事実をみつめる子供たち(おばあちゃんの甥にあたるリチャード・ギアも含む)の素直な「悲しみ」の態度に触れて、「そのように感じるのが当たり前」であった自分を取り戻す。

 そしてラストの数分、映画は急展開していきなり「映画的」になり、狂気におそわれた「おばあちゃん」が豪雨の中を走り出し、家族がそれをまた必死に走って追いかけていく……。このシーンだけが映画を「黒澤映画」にしている、突出した名シーンである。

 24年経って何が変わったのか。確実に「おばあちゃん」はいなくなっていて、91年当時がまだひとつの「戦後」に過ぎなかったことだけが、2015年のいま、明らかなことである。(管理人)
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[ 2015/08/31 12:40 ] 映画 | TB(0) | CM(2)
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