絵日記 日日平安 2015年07月
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『出版屋(ほんや)の考え休むににたり』福元満治

 用があって中村哲氏のことを調べる機会があり、中村哲といえば石風社、石風社といえば博多ということで、夏休みに博多に行く予定がある身としては、石風社代表でありペシャワール会の代表でもある福元満治氏の著書を読むこととなった。

 といっても何のことやらわからない人もいると思うので簡単に書くと、中村哲氏とは アフガニスタンで井戸を掘り、用水路をつくって何十万人もの命を救い続けている医師であり、その著書を出版しているのが石風社。博多にある「地方出版社」の雄である。ペシャワール会とは中村氏の活動をバックアップしている団体で、福元氏はまあ、盟友というか戦友みたいなものだろう。

 福元氏は博多にある代表的な地方出版社・葦書房の出身で、80年代に各地に躍り出てきたタウン誌、つまりは東京をなぞった「都市型情報誌」のブームには背を向け、その地方でしかつくれない本をつくり続けた。地方都市を席巻する「サービスによる都市生活の効率化・均質化」に染まらない出版活動をこう書き記している。

 地方出版社の役割は、その均質化に馴染まないものをいかにフォローしていくかという事にある。逆説的にいうと、時代の表層に対し「反時代的」であることが、スポンサーなしの地方出版社唯一の自由ということである。


 そんな姿勢でつくり続けた中村哲氏の本は2000年代にベストセラーとなった。

 地方にはこんな気骨を持った編集者、出版者が何人もいて、その「地方」における「反時代性」を守っている。福元氏の出身である葦書房はもちろんだが、身近なところでは「会津人群像」を出している歴史春秋社なんかも凄いと思う。

 僕も10年ほど前に会社をつくるとき、「情報誌をつくる出版社」「地方出版(に近い)アングラ出版社」か、二者択一ができるチャンスがあった。手っ取り早くお金になると考えた「情報誌」を選んで失敗したわけだが、あのとき失敗や生活の苦労を恐れずに「アングラ出版社」を選んだらどうなっただろうか。もっと普通のマトモな出版人になれただろうか……。
 この本を読みながら、自分の人生の選択の安直さと、その結果としての「どうしようもない今」があるという現実の厳しさに思い至ってしまった。
 で、そのとき僕が引き継ぐ予定だった「アングラ出版社」もとうとうなくなってしまった。

 葦書房の創業者の言葉を最後に引いて、自省の思いに浸ってしまおう。(管理人)

「この(疑似東京の)図式にうまくなじんで出版活動を続けていれば、食うには困らない。食うには困らないが、腹の虫が何故か収まらない」

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[ 2015/07/31 15:58 ] | TB(0) | CM(0)
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