絵日記 日日平安 2014年09月20日
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生者と死者のあいだ

 BSジャパンの「男はつらいよ」全48作の放映が今日で最後となった。「寅次郎 紅の花」がそのサブタイトルである。

 山田洋次は、このあと2作(全50作)を計画していたようだが、この作品でも渥美清の限界が垣間見られ、「最後の作品」であるにふさわしい物語となった。

 いきなり話は変わるが、フレディ・マーキュリーが死去する前の最後のアルバムはクイーンの「イニュエンドゥ」(フレディが死去した1991年発表)、最後の曲は「ショー・マスト・ゴー・オン」(「ショウを続けなければいけない」)である。でもその前のアルバム「ザ・ミラクル」(1989年発表)の最後の曲「素晴らしきロックン・ロール・ライフ-Was It All Worth It」は「ショー・マスト・ゴー・オン」よりも強烈な、フレディの実質的な「遺書」だった。

 その曲で執拗に繰り返される「それに価値があったのか」という歌詞は、自らの音楽人生のすべてを振り返って「本当に価値があることだったのか」と自問しつづける。そして曲の最後に、「そうだ、それだけの価値があったのさ!」と呟くフレディの声。

 「寅次郎 紅の花」はこの歌みたいなもので、もう1作できるかどうかわからない、でもここで最後のメッセージを発しなくては……という意味での遺書であった。「Was It All Worth It」のあと、なんとか生をつないだフレディは、あと1枚のアルバムと「ショー・マスト・ゴー・オン」を遺すことができた。そういう話である。

 そして渥美清は、49、50作を迎えることができずに死去した。でもやはり、最後がリリーさんでよかった。そういう話である。

 この作品は1995年製作で、生々しい阪神大震災の現場も出てくる。寅さんがボランティアで活躍したというエピソードを盛り込んでいるが、やはり死の匂いはどこでも漂っている。そして、2011年の震災で寅さんが生きていたらどうしていたか、なんて想像の翼が拡がったりする。

 そういえば、フレディ・マーキュリーとマイケル・ジャクソンのデュエット音源が正式に発表されるらしい。ブライアン・メイとロジャー・テイラーの執念に感謝するしかないのだが、「生命の証-There Must Be More To Life Than This」は、フレディのソロ「Mr.バッドガイ」で30年聞きつづけた名曲だ。マイケルの音源もyoutube等で昔から聴いていたが、それと公になることはまた意味が違う。二人の故人のデュエットは、「生」と「死」の境界をどう乗り越えて世界に響くのだろうか。いま一番興奮する出来事なのであった。(管理人)

mrbadguy
「生命の証」を収録したフレディのソロアルバム「Mr.Bad Guy」(1985)
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[ 2014/09/20 21:46 ] 日記 | TB(0) | CM(0)
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