いきなり話は変わるが、フレディ・マーキュリーが死去する前の最後のアルバムはクイーンの「イニュエンドゥ」(フレディが死去した1991年発表)、最後の曲は「ショー・マスト・ゴー・オン」(「ショウを続けなければいけない」)である。でもその前のアルバム「ザ・ミラクル」(1989年発表)の最後の曲「素晴らしきロックン・ロール・ライフ-Was It All Worth It」は「ショー・マスト・ゴー・オン」よりも強烈な、フレディの実質的な「遺書」だった。
「寅次郎 紅の花」はこの歌みたいなもので、もう1作できるかどうかわからない、でもここで最後のメッセージを発しなくては……という意味での遺書であった。「Was It All Worth It」のあと、なんとか生をつないだフレディは、あと1枚のアルバムと「ショー・マスト・ゴー・オン」を遺すことができた。そういう話である。
そういえば、フレディ・マーキュリーとマイケル・ジャクソンのデュエット音源が正式に発表されるらしい。ブライアン・メイとロジャー・テイラーの執念に感謝するしかないのだが、「生命の証-There Must Be More To Life Than This」は、フレディのソロ「Mr.バッドガイ」で30年聞きつづけた名曲だ。マイケルの音源もyoutube等で昔から聴いていたが、それと公になることはまた意味が違う。二人の故人のデュエットは、「生」と「死」の境界をどう乗り越えて世界に響くのだろうか。いま一番興奮する出来事なのであった。(管理人)