絵日記 日日平安 2013年10月08日
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血盟団事件 -好日読書 vol130-

 中島岳志『血盟団事件』(文藝春秋)を読みました。

ketumeidan

 著者は『中村屋のボーズ』を書いた歴史学者。本書も小説ではなくノンフィクションです。

 「血盟団事件」は昭和7年に起きた暗殺テロです。大蔵大臣・井上準之助と三井財閥の理事長・團琢磨が殺害されました。
 事件を首謀したのが日蓮主義者・井上日召が率いる「血盟団」です。

 ウィキペディア「血盟団事件」に事件の概要が載っています。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%80%E7%9B%9F%E5%9B%A3%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 宗教団体(どうしてもオウムを想起します)、「一人一殺」という不気味なフレーズ、羽織袴に編笠を被って裁判にのぞむ被告たちの姿・・パッと見「理解不能の狂信的テロ」なのですが「そうではない」と一貫して主張しているのが本書です。

 時代は、いわゆる「昭和恐慌」の不況下にありました。農村は「日々の食料にも事欠く」ありさま。(血盟団は茨城の農家の若者を中心に結成されました)
 都会でも格差社会が進行し、労働者は搾取され、その一方で山の手には政治家や財閥の一家が贅沢な暮らしをしている・・

 著者は、井上、古内、小沼、四元ら主要メンバーの来歴と内面をじっくりと追い、閉塞する時代に苦悩する若者たちのある意味真摯な姿を、説得力をもって描き出しています。
 海軍士官や国家主義者たちと交流する中で暴力革命に目覚めていく過程は、今の目で読んでも理解できるものです。(彼らと連携した将校たちが起こしたのが五・一五事件、二・二六事件です)

 なお、血盟団のメンバーは暗殺事件を起こしていながら死刑にはならず、判決は無期懲役でした。
 しかも昭和15年に恩赦で出獄、結構最近まで活躍していた人も多いのです。
 四元義隆(主要メンバー)は戦後政治の黒幕として中曽根康弘や細川護熙の指南役を務めていた、とか、小沼正(実行犯)の井上暗殺は昭和44年に千葉真一主演で映画化され(「日本暗殺秘録」というタイトル)小沼本人が撮影を見に来て千葉を激励した、とか、「血盟団事件最後の生き残り」川崎長光は2010年に99歳で存命、著者・中島にインタビューされているとか(その様子が本書の冒頭に登場します)「どうなってるの」という感じなのですが、まあそういう時代だったということでしょうか。(読書一郎)

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[ 2013/10/08 00:42 ] 好日読書 | TB(0) | CM(0)
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