絵日記 日日平安 2011年06月
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『レッド』を読む -悪の現象学2 -好日読書 vol93-

 どうもご無沙汰しております。

 私は震災以降、すっかり本が読めなくなってしまいました。
 震災や原発の映像を見ながらいろいろ思うところがあり『法然の哀しみ』とか『現代日本の転機』とか『安心社会から信頼社会へ』とか何冊か読みかけたのですがすべて中断。(どれもあまりおもしろくありませんでした。読み終えてないけど)

 ということで、久々に取り上げるのはマンガです。
 山本直樹『レッド』(講談社)。先日単行本の5巻が発売されました。

 山本さんには『ブルー』というかなりエッチな作品もありますが、『レッド』と『ブルー』は(たぶん)まったく関係がありません。
 「レッド」の赤は「連合赤軍」の赤。本作は、連合赤軍の活動と崩壊を描いたドキュメンタリー・マンガです。

 若者たちが「革命」の名のもとに、銀行強盗をし、猟銃を盗み(この辺までは「ゲーム感覚」という感じなのですが)山奥にこもって、内ゲバで殺しあってゆく。すべて実話です。
 これまでの山本作品に見られたエロや幻想味はほとんどなく、リアルかつクールに物語が進行します。

 話のはしばしに「宮浦 この時23歳 群馬山中で死亡するまであと173日」といった、登場人物の未来を予告する文がはさみこまれ、彼らが定められた悲劇に刻々と向かっていることが、読者にわかるようになっています。

 現在5巻。「山岳ベース事件」「あさま山荘事件」までもう少し。すなわち本当にエグくなるのはこれからで、続刊を待ちたいところです。

 それにしても、ごく普通の若者たちが、なぜこんなことになってしまったのか。
 事件から40年。強く思うのはそこのところです。

 ずいぶん前に『服従の心理』という本のことを書きました。
 要点だけ書くと

①たいていの人は、誰かに命じられると、結構悪いことでもやってしまう
②それでは、悪いことを命ずる「誰か」(ヒトラーのような人)はどうやって生まれるのか。
③彼らも普通の人である。彼らが、異常な「ことば」「観念」にとらわれたとき<悪>が発生する。
④すなわち<悪>はことばである。

 『レッド』を読んで思うのは「ある種の人たちにとって、やはり<悪>はことばなのだ」ということです。

 「武装闘争」「世界革命」「殲滅戦」「処刑」・・
 具体的イメージを持たないことばが、人の思考回路を(たぶんおかしな方向に)かえていく。ウイルスが体内に入ってきたかのように。

 リーダー的な、力のある人が<悪>に染まると、周囲の人たちにも「感染」していく。リーダーのことばを妄信し、自ら判断を下すことをやめ、正常な感覚が麻痺していく。ウイルスが増殖するかのように。

 連合赤軍はずいぶん遠い世界ですが、この構図自体は今でもしばしば見受けられると思うのです。

 適切な例かわからないのですが「管首相が辞めない」という話があります。

 管さんが「あまりいい人ではなさそうだ」ということは、報道のはしばしから、私にも想像できます。
 ただ「いい人ではない」というだけの理由で、総理大臣を辞めなくてはいけないものなのか。
 (鳩山さんの普天間基地問題のように)致命的な失敗をしたのか、というとそういうわけではない。
 なぜ辞めなくてはならないのか。誰も不審に思うことなく、いつのまにか既成事実化している。学校の「いじめ」と同じような気配を、すなわち<悪>の発生を感ずるのは感ずるのは私だけでしょうか。
 (管さんは反原発に踏みこんだせいで辞めさせられるのだ、と言う人もいますが、これも真相はわからないですね)

 <悪>はいたるところで発生します。そして、われわれは被害者ではなく加害者かもしれないのです。(読書一郎)

その1はこちら
『服従の心理』-悪の現象学 その1
http://ci5.blog20.fc2.com/blog-entry-365.html

似たテーマで書いたのがこちら
「大衆」この恐ろしきもの その1.全体主義までもう一歩
http://ci5.blog20.fc2.com/blog-entry-618.html
「大衆」この恐ろしきもの その2.大衆の反逆
http://ci5.blog20.fc2.com/blog-entry-624.html
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[ 2011/06/30 12:29 ] 好日読書 | TB(0) | CM(3)
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