絵日記 日日平安 2011年03月22日
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「原発」について私の思うこと -好日読書 vol.92-

 ご無沙汰しております。
 このたびの震災で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

 私もあれ以来本が読めなくなってしまいました。
 書物によって得た知識や観念の本質的な無力さのようなものを感じます。
 ただし、すべての観念が無力というわけではありません。
 被災者の方々を支えるのは、希望や信頼や夢や善意といった、やはり人間の生み出した観念であるはずです。

 今回は、当ブログでも何度か取り上げられている「原発」について書こうと思います。
 ものすごく長いので(すみません)番号を振って見出しをつけました。

①現在はとにかく現場の方を応援するしかない。
 3/21現在、東京消防庁による放水が成功し、外部電源も復旧。事態は一時よりは好転しているようです。
 ただ、依然予断を許さない状況なのもまちがいありません。

 今は、政府や東京電力に対する不信や叱責、批判、疑問、すべて後回しにするべきでしょう。
 現場でがんばってくれている政府や東電の方々、自衛隊や警察や消防の方々にとにかく感謝、そして応援するべきだと思います。

②深刻な風評被害が起きている。
 先日の「ニュースウォッチ9」は衝撃的でした。
 「福島県南相馬市(屋内退避指示が出ている)の特別養護老人ホームがたいへんなことになっている」というのです。
 建物の被害はほとんどなく、一見普通なのですが、そうではありませんでした。
 停電で電気がない。水や食料がない。(原発の被害を恐れて誰も近よらず、物が届かなくなったのです)
 職員も家に帰れず(お年寄りの世話をする人がいなくなってしまう)疲労は限界を越えている。
 「ニュースウォッチ9」が連日取り上げてくれたおかげで、ここの方々は避難することができたようです。

 翌日は「福島県いわき市がゴーストタウンと化している」と報じられました。
 いわき市は市内の一部で屋内退避指示が出ているだけで、大部分の方は普通に生活しています。
 しかし、ここにも物が届かない。物流が止まっているのです。避難しようにも電車も来ないし、ガソリンもない。
 病院からも、一般家庭からも、窮状を訴えるFAXが届いていました。

 原発に対する過度の恐怖心が風評を生み、風評が新たな被害を生んでしまう。
 この文章を読んで下すっているみなさんも、訳知り顔で風評や陰謀論を話すのはやめましょう。何もわかっていないわけですから。
 そういう行為がいわき市の方々を(おそらくは福島県全域や茨城県北部の方々も)追いつめていくのです。

③放射能を前にすると、人は前近代に戻ってしまう。
 とは言うものの、今「何が真実で何が風評か」見極めるのは容易ではありません。
 「人体には影響ないと言っているけど本当に安全なのか」簡単には信じられないという気持ちももちろんあります。
 原発の建物に近づけないわけですから、事態を正確に把握している人はおそらく誰もいないのでしょう。

 ただ「福島県出身者がホテルで宿泊を拒否された」などというニュースを聞くと、暗澹たる気持ちになります。
 連想するのは「エンガチョ」ですね。「放射能=エンガチョ」です。
 現代において「放射能」は「ケガレ」「憑き物」と同様の意味を持っている、と言っていいのでしょう。放射能を前にすると、人は前近代に戻ってしまうのです。(これは日本だけではなく、たぶん全世界共通だと思います)

 なぜこんなことになるのでしょうか。
 理由は、われわれが「放射能」というものをまったく知らない、ということに尽きます。

 今回もいろんな人がいろんなことを言っていますが、人体への影響など、たぶん正確なところはこれまた誰もわからないのだと思います。症例も少ないでしょうし。

④過去の事例から類推してみる。
 それでも、過去の事例から類推することはできます。
 史上最悪の放射能被害を起こした事件、といえば「チェルノブイリ」ではなく「広島と長崎」でしょう。
 「意図的に爆発を起こして放射能を拡大させた(拡大させること自体が目的だった)」わけですから。
 このとき、放射能はどのくらい拡散したのでしょうか。
 戦後、政府は「被爆者健康手帳」を発行し、被災者に対して医療費の支援を行いました。
 この手帳が発行されたのは、広島では広島市とその周辺のみ。長崎でも長崎市とその周辺のみ。県全体ではなく、ましてや隣の県(岡山とか佐賀とか)の住民に発行されたわけではないようです。
 ここから類推されるのは「放射能の被害が福島県全体に及ぶことはなさそうである」「ましてや東北・関東一円に及ぶことはなさそうである」ということです。
 意図的に拡散させてもそうなのですから、建物が爆発でもしない限り、おそらく今回の被害はそれ以下になるはずです。
 むしろ落ち着いてからの風評の方が怖い。原爆で被災された方たちも、さまざまな風評にも苦しめられたようです。

⑥放射能についてにわか勉強。
 とにかく、知識がないことには判断しようがありません。私も放射能についてにわか勉強することにしました。(ウィキペディアですけど)
 それによると「放射能」という言い方は正確ではなく「放射線」が正しいそうです。
 放射線は人体に有害な「ビーム」で、強いものを一気に浴びるとものすごく有害、弱いものでもずっと浴び続けるとやはり有害。
 この放射線を発するのが「放射性物質」。ウランとかプルトニウムとかがこれ。ニュースで「核燃料」と言っているのはこれのことですね。
 放射能は「放射線を出す能力」のこと。「放射性物質は放射能を持っている」という言い方をします。(たぶんこの言い方が放射能=放射線そのもの、という誤解を生んだのではないかと思います)

 放射性物質と放射線を、懐中電灯と光になぞらえた文章がありました。放射性物質が懐中電灯。電灯から出る光が放射線。
 光とのアナロジーで考えると何となくわかった気になります
 ものすごい強力な懐中電灯の光を目に浴びると失明するおそれがあるが、少量なら影響がない。
 ただ、少量でもずっと浴び続けていれば目がおかしくなる、ということですね。

⑤福島原発はどうなのか。
 上記のにわか勉強からわかることは、有害な放射線を出す「放射性物質」が原発の外に出てしまうと非常によろしくない、ということです。
 チェルノブイリの事故は原子炉が爆発して大量の放射性物質(核燃料)が外に飛散したということで、これはものすごくよろしくないわけです。

 今回の福島原発はどうでしょうか。
 爆発しましたが、あれは「水素爆発」で原子炉自体は無事だと言われています。(わかりませんけど)
 ただ、爆発による原子炉の損傷はあるのかもしれません。
 また「核燃料プール」というところが火事になった、という報道もありました。
 周辺の放射線濃度も上がったようですし、原発内の核燃料の一部が気化して飛散したのはまちがいないでしょう。
 ただ、そういう危険な状況がずっと続いているかというと、少なくとも今は大丈夫だと思います。ごく微量ですからずっと続かなければ問題はないはずです。
 海水が注入されて、東京消防庁も見事に水を入れてくれて、周辺の放射線濃度も下がってきたようですし、さしあたって飛散が続くことは避けられた、という気がします。
 また、原子炉は停止しているので、原子炉自体が爆発、などという最悪の事態も回避されそうです。
 予断は許さぬものの、今現在は風評ほどの被害は起きていない、と判断できるのではないでしょうか。

 ついでに書きますが、私は「政府が情報を隠している」とは思いません。
 理由は簡単で「今の時代に隠しきれないだろう」ということです。
 放射線濃度をはかる「ガイガーカウンター」は、西原理恵子が「できるかな」というマンガで手作りしていました。素人でも簡単に作れるのでしょう。(正確に言うと西原さん自身は作れなくて、理系の学生さんに作ってもらっていました)
 福島に住む一般人がガイガーカウンターを入手して放射線濃度を計測、ブログやツイッターで発表すれば真実はすぐにわかります。隠せない、と思うのです。
 記者会見を聞いていても、枝野官房長官は情報の開示には相当の神経を使っていらっしゃると思います。


⑥そもそも、なぜ原発は作られたのか。
 この先は、今書くべきことではないかもしれません。(①でそう書いたのについ・・すみません)
 とにかく、こういう事故が起きた以上、もう日本で原発が作られることはないでしょう。

 今稼動している原発には早急に地震対策、津波対策を施す必要があります。
 「危ないのは稼動そのものではなく核燃料の処理」のようですから、稼動しているしていないはあまり関係ないかもしれません。

 それにしても「廃棄・処理の方法がない燃料」を使う施設が、なぜこれだけ作られたのか・・不思議です。
 福島原発はアメリカのGE社製の原子炉を使っている、ということで、「アメリカからの圧力なのか」と勘ぐってしまいますが、 これも「想像」「風評」にすぎません。(そう、今はこういうことを言うべき時ではありませんね)

 ただ、原発を推進した人たちが、日本の電力事情のことを憂慮していたのはまちがいないでしょう。
 現在の日本では火力発電が主流ですが、これは石油を使います。そして、石油はほぼすべてが輸入です。
 何らかの理由で輸入が途絶えてしまった場合(たとえば、日本が他国と交戦状態になり、日本の領海に外国の船が入ってこられなくなった、などという場合)これは「計画停電」どころの話ではありません。電力が止まり、日本経済は沈没することになります。
(ただ、だからといって原発を作ると、他国と交戦状態になった時に原発を爆撃される、というリスクは発生しますね・・)

 いづれにせよ、原発という「一解答」が事実上消滅した以上、日本の電力についてはもう一度考え直さなくてはならないでしょう。
 と言っても「家庭では太陽電池を使う」くらいしか思いつかないのですが・・
 今回も、避難所にソーラーパネルがあれば・・と雪の舞う被災地をテレビで見ながら思ってしまいました。
 ただ、この政策は電力会社の電気料金の減収に直結しそうですから、パッとはできないような気もします・・

 もう一つの解決策は「電気をあまり使わないようにする」ということです。
 先日、夜間の計画停電で真っ暗になった川越市街を子どもと二人で歩いてみました。とにかく真っ暗。コンビニも看板もマンションの廊下も真っ暗でした。
 その時ふと思ったのが「夜はこれでいいんじゃないか」ということです。普段の方が異常で電気を使いすぎている。世の中は便利になりすぎているし、資本主義は進みすぎている。
(「地震は天罰だ」と言ったとんでもない人がいましたが、彼の真意もこの辺にあるのでしょう。いや、かばうつもりはありませんよ)

 長々と書いてしまいましたがこれでおしまいです。原発事故が無事におさまってくれること、周辺に住む皆さんが本当にたいへんな「事故後の処理」を乗り越えてくれることを願っております。(読書一郎)

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[ 2011/03/22 13:34 ] 好日読書 | TB(0) | CM(8)
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