絵日記 日日平安 2005年10月17日
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『ニッポニアニッポン』阿部和重

『ニッポニアニッポン』阿部和重(初版2001年8月)
 映画「タクシードライバー」と平行して読んだせいか(映画と平行して読むとはどういうことか僕にもわからないが)、この小説の「トキ(鴇)」と「タクシードライバー」の娼婦役のジョディ・フォスターがオーバーラップしてしまった……。
 「希少なものの抹殺という点では三島由紀夫の『金閣寺』(と同じ)」と著者はインタビューで答えているらしいが、その通りで、これらは「希少なもの」を自分のものとするため抹殺するという自己愛のドラマである。
 ただ、「タクシードライバー」におけるトラビス(ロバート・デ・ニーロ)がそうであるように、それはただの勘違いである。少女娼婦(ジョディ・フォスター)を(本人にはたいして必要ないのに)助けるために犯罪を犯すトラビスの世の中に対する「思い込み(=勘違い)」は、思いっきりナンセンスコメディ。笑い飛ばせるだけで、何の意味も持たないのだ。
 『ニッポニアニッポン』で途中から登場する少女が、途中まで真剣なのに最後はナンセンスコメディのような悲劇を口にするところが笑えて、それに対する主人公の告白も笑える。主人公の結末も笑える。
 そしてラストはクィーン「ボヘミアン・ラプソディ」の歌詩の引用。小説の表紙はアルバム「オペラ座の夜」のパロディ。本人は真剣なのに、笑える、笑える、おかしな世界。これが『ニッポニアニッポン』もしくは『金閣寺』もしくは(阿部和重が解釈する)「ボヘミアン・ラプソディ」の自意識の世界なのではなかろうか。

 Nothing really matters to me ~なんにも起こらなかったよ おれたちには!
 Anyway the winds blows    ~風が吹くだけさ おれたちには何の意味もない風が(以上、意訳)
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[ 2005/10/17 22:59 ] | TB(0) | CM(0)
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