絵日記 日日平安 本
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『東京貧困女子。彼女たちはなぜ躓いたのか』中村淳彦


 非常に「痛くて」「暗澹たる」気持ちになる本。

 いまの学生はまったくお金がない、「奨学金貧困」、そして若い女性があっという間に風俗に走ってしまう現実。

 さらにショッキングなのは、高学歴で結婚して裕福に暮らしていたはずの女性がまさに「躓いてしまう」経緯で、

「離婚」「シングルマザー」→「再就職」→底辺の現場で「パワハラ」「セクハラ」を受ける→「辞めてしまい貧困」

とか、

そういう人たちを賃金の低い介護職へ導く「官製貧困」→「15時間労働」→「身体を壊す」→「医者が儲けるだけのための危ないクスリの処方」→「障がい者へ」

という貧困。

 結局、現代日本の女性たちは昔からの「婚姻制度」に薄く守られているだけのたいへん脆弱な基盤しか持たない潜在的弱者であり、ほんのちょっとしたきっかけで(夫のDVとか)婚姻制度を捨てた瞬間、単なる弱者になる。

 社会はまた悪意に満ちていて、社会の底辺にいけばいくほどあらゆる「ハラスメント」が蔓延しており、彼女たちを追い込む。さらに社会には様々な罠があり、弱い存在からもまたお金をむしり取る人たちがそこらじゅうにウヨウヨ。

 そういえばたったいま、5分前に入っていた「PRONT」でも、隣の席で完全な「ネズミ講」か「自己啓発」かわからないが、詐欺商法であることは間違いのない「勧誘」で一人の女性が騙されていた。

 いつからこういう時代になったのか、昔からこんなに貧困だったのかよくわからないが、そんな底辺の会社でなくても「パワハラ」や「セクハラ」は溢れており、外へ出ると人々は悪意で充ちている。そう感じしかないという、恐ろしい本。(管理人)

20190913
こちらもイギリスのお土産写真。どこかわからないが、クイーンの展示物がある店らしい。白いギターに「QUEEN」、黒い衣装に「BRIAN MAY」とある。
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[ 2019/09/13 13:27 ] | TB(0) | CM(0)

『上野アンダーグラウンド』本橋信宏

 先日読んだばかりの『全裸監督 村西とおる伝』の著者の作品。まさに「横丁、路地裏、色街跡」のルポから、戊辰戦争、西郷隆盛像などの歴史、男色サウナ、アメ横、パチンコ、コリアンタウン、不忍池の老売春婦まで、上野という街の特異性をあますところなく描いた傑作ルポといえる。

 だいたい毎週のように上野に通っていても、ほとんど「点」と「点」、知っている店のことしかしらない。長年行ってるのでいろんな闇もみたし、僕よりよっぽど深くそんな闇を知っている人からもいろんな話を聞くが、結局それも「点」と「点」でしかなく、ここまで多岐にわたった「上野」の中身を読むと、あまりの街と人の混沌、奥の深さ、闇の深さに愕然とし、ああ、だからこそ上野は人間臭いのだし、汚くて危ない街なのだけど結局足を向けてしまうんだな、ということがわかる。

 著者はその答えを「上野駅」に求めているのだと思う。北からやってきた人の終着点であり、東京という新しい世界の入り口であり、その複雑で怪しい駅や行き交う人たちの群れそのものが上野をつくっている。

 それは「エピローグ」にある著者自身の話、というか著者の妻の父(義父)の話が象徴的で、北津軽郡のリンゴ園を営む義父が、稼ぎがなくなると出稼ぎに出てきて働き、「体がきしむほどの労働を死ぬまで続け」亡くなっていく。

 その義父の生前の「上野で食った中華そば、うめくってあったなぁ」という言葉をもとに、著者はルポの旅の合間にそのラーメン屋をいつも探しているがみつからない、というのが印象的で、つまりは、この義父(東北人)の「津軽と上野を往復して労働を続ける身体性」が上野そのものなんだな、というのが納得できる。

 必読、名著である。(管理人)

20190904
[ 2019/09/04 09:37 ] | TB(0) | CM(0)

『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』

 連続テレビ小説「なつぞら」が、子供ができてからまったくつまらなくなった。「仕事」と「子育て」の両立とか、大事なテーマなのだろうが、まあ、このドラマには必要がないと思う。

 逆に大河ドラマ「いだてん」はどんどんおもしろくなってきており、「狂気」「狂乱」になるほどクドカン、アベサダはおもしろくなる。

 で、日曜の「ノーサイドゲーム」も佳境に入ってきたこともあり、遅ればせながら池井戸潤『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』を読んだ。半沢直樹シリーズで、ドラマの続編がいつまでたってもつくられないので仕方なく読んだというわけである。

 ちなみに池井戸潤の小説は、「ドラマをみる→小説は読まない」「小説を読む→ドラマはみない」ことにしている。『ルーズヴェルトゲーム』でドラマをみてから小説を読んだら、まったくおんなじで全然おもしろくなかったからだ。この人の作品に限っては、なぜか「原作」というより「=原作、脚色」まで入っているような映画やドラマみたいな小説で、だからこそここまで売れるのだろう。

 というわけで、『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』、両方素晴らしかった。何が素晴らしいって、その「正論」で、組織や利権、権力者、権力におもねる人たちなど、この世の圧倒的な「理不尽さ」をすべてキャラクター化して、彼らをコテンパンにやっつけるところ、「正論」がしっかり通るところ、つまりは「正義」を正義としてしっかり語るところである。

 逆にいえば、世の中まったく正論はまかり通らず、ボコボコにやられている人たち(読者、視聴者)ばかりだからベストセラー、高視聴率なんだな、ということを改めて認識させられたということである。(管理人)
[ 2019/08/29 09:57 ] | TB(0) | CM(0)

『全裸監督 村西とおる伝』本橋信宏

 Netflixで山田孝之主演でドラマ化されたのに合わせて、カバーも新たに再配本されたらしい。

 人生、死んでしまいたいときには下を見ろ! おれがいる。

 前科7犯。借金50億。米国司法当局から懲役370年求刑。奇跡の男か、稀代の大ボラ吹きか。“AVの帝王”と呼ばれた裸の男の半生。


 というコピーが並ぶが、まあそういう本(笑)。まさに「すごい」本。

 梁石日ではないが、この時代、日本にはホント、こういう男たち、まさに大物がたくさんいた。それが「時代」なのか、いまの僕らの世代以降の「貧弱さ」なのかわからないが、やっぱりいまの「文化の上のほうの人」をいくら眺め渡しても、こんなホンモノはなかなかいない。

 「平成」を跨いだいまの時代に必読、だと思う。(管理人)

20190828
ドラマ用新装丁。帰省の新幹線で読む。
[ 2019/08/28 10:31 ] | TB(0) | CM(0)

『こちらあみ子』を読む

『こちらあみ子』(「こちらあみ子」「ピクニック」)今村夏子
『むらさきのスカートの女』今村夏子


 たとえばどうしようもないコミュニケーションの断絶がある。
 目の前にいる職場の人でさえまったく理解不能、向こうもこちらを理解不能だろう。そういう断絶。

 そういえば数年前、新しく来た上司たち(なんと複数名いた)に職場から干されたとき何があったかといえば、まったくの無理解、言葉が通じない、理屈が通じない、向こうは「これといったらこれ」。話を聞こうともしないし、聞いても頭に入れようとしない。

 結局、あとになって、ひとりの上司は「仕事知らずのおこちゃま」、もうひとりは「アスペルガー」と記号付け(レッテル貼り)したら納得できた。

 つまりは、人間なんてお互い理解不能。その存在を理解するためには「レッテル貼り」がどうしても必要という話で、この小説3本は、「レッテルを貼らない段階」で貼られるほうからの視点で書かれた小説。

 「あみ子」は発達障害、「ピクニック」の主人公は妄想癖、「むらさき~」の主人公も妄想癖のストーカー、そういってしまうと小説自体が終わってしまうが、ここで考えるのは、「自分」がどうかという話だ。普通と思っていた自分が普通に何年も生きてきて、ふと気づいたとき「異常人間」扱いをされる。そういう扱いをされなくとも、どこかの社会からはなんとなく疎まれ、なんとなく差別されている。そういう状態はまあ普通にあること。

 では、「あみ子」やその他の主人公たちと「普通の自分」との差異はどこにあるのか。

 そんなものはどこにもない。

 どの小説も、最後の最後に作者がちらりとみせる「レッテル貼り」の恐怖、そして「他人の無理解と行動(いじめだったり暴力だったりする)」の衝撃が、どうしようもなく僕を絶望させる、そんな作品群である。(管理人)

20190717
[ 2019/07/17 16:48 ] | TB(0) | CM(2)
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